篠田工務店で使っている漆喰ってどんなもの?
漆喰(しっくい)は、消石灰(水酸化カルシウム)を主成分とする世界的で伝統的な塗り壁材です。
古くから日本の城や蔵、民家の壁に使われ、現代でも和風建築やモダンな内装に採用されています。
その優れた調湿性、防火性、抗菌性などの機能的な特性により、快適な室内環境をつくる素材として注目されています。
本日は、当社:篠田工務店でも使用している漆喰の特性や製造工程、歴史や用途について詳しくご説明しますね。
1. 漆喰の主な特徴
① 調湿性が高い
漆喰は空気中の湿気を吸収したり放出したりする性質があり、室内の湿度を自然に調整します。
梅雨時の湿気対策や、冬場の乾燥防止にも効果的です。
② 耐火性に優れる
主成分である消石灰は燃えないため、火事に強い建材です。素材によっては防火認定されているものもあります。
実際に、漆喰が使われた昔のお城や土蔵(どぞう)は火災から貴重な物品を守る役割を果たしてきました。
③ 抗菌・防カビ効果
漆喰は強アルカリ性のため、カビや細菌の繁殖を防ぐ働きがあります。
強アルカリ性とは、PH(ペーハー)値が12以上のものを指し、微生物や細菌等は生きることが出来ません。
これにより、湿気の多い場所でも清潔な環境を保てます。
④消臭効果
漆喰が二酸化炭素と化学反応を起こし、水が抜ける際に出来る無数の穴(多孔質)が匂いの原因を吸着分解して匂いをとってくれます。
⑤静電気が発生しにくい
漆喰の壁は静電気が起きにくいため、ホコリや汚れが付きにくく、室内を清潔に保ちやすいです。
⑥美しい仕上がり
左官職人が塗ることで、独特の風合いと高級感のある仕上がりになります。
漆喰の塗り方は様々で、表面をなめらかにしたり、模様をつけたりすることも可能です。
テクスチャー(塗り模様)工務店や左官職人さんにお聞きしてみてくださいね。
⑦部屋が明るくなる
漆喰の反射率は鏡とほぼ同等です。
しかも顕微鏡で見てみると方解石になっているので、光が乱反射します。
その為、少ない光でも室内は特に明るくなります。光と影の印影で素敵な空間が仕上がる可能性がありますね。
では、漆喰(しっくい)ってどのようなものから、どのように作られるのでしょうか?
2. 漆喰の製造工程
漆喰の製造は、以下のようなプロセスで行われます。
① 石灰石の採掘
漆喰の原料となる「石灰石」は、炭酸カルシウム(CaCO₃)を主成分とする鉱石です。
これを採掘し、加工して使用します。
② 石灰石の焼成(しょうせい)
採掘された石灰石を約900~1,000℃で焼くことで「生石灰(きせっかい)」と呼ばれる物質(酸化カルシウム:CaO)になります。
しのだ工務店で使用している漆喰は800℃くらいで焼成します。
③ 水との化学反応(消化反応)
生石灰に水を加えると、熱を発しながら「消石灰(水酸化カルシウム:Ca(OH)₂)」に変化します。
これを熟成させ、漆喰の主成分となる「消石灰ペースト」ができます。
むかし、お弁当についていたお茶があったかくなるものがありましたが、この原理を利用したものですね。
④ 添加材の混合
消石灰に「糊(海藻糊など)」や「スサ(藁や紙繊維)」を加え、漆喰の強度や柔軟性を向上させます。
⑤ 塗装・乾燥
左官職人が壁に漆喰を塗り、乾燥させます。
漆喰は空気中の二酸化炭素と反応して、再び炭酸カルシウム(CaCO₃)に戻り、硬化していきます。
これにより、耐久性の高い壁が完成します。
このサイクルで漆喰施工後に二酸化炭素と化学反応を起こし、元々の石灰岩の堅牢な建物になっていきます。
3. 漆喰の歴史と伝統的な用途
漆喰は日本だけでなく、世界各地で古くから使われてきた建材です。
その歴史をたどると、さまざまな建築物や用途に用いられてきたことがわかります。
① 日本における漆喰の歴史
日本では飛鳥時代(7世紀ごろ)に中国や朝鮮半島から技術が伝わったとされ、寺院や城郭の壁に使用されました。
特に、戦国時代から江戸時代にかけて、耐火性の高さから城や土蔵の壁に多く用いられました。
有名な漆喰を使用した建築には以下のようなものがあります。
・姫路城(白鷺城)(兵庫県)
外壁が真っ白な漆喰で覆われ、「白鷺城(しらさぎじょう)」と呼ばれる美しい城郭。
耐火性の高さも特徴。
白壁の土蔵群(岡山・倉敷や長野・松本など)防火対策として漆喰で塗られた白壁の土蔵が多く残る。
伝統的な町家(京都・金沢など)町屋の内部や外壁に漆喰を使用し、風合いと機能性を両立。
② 世界における漆喰の歴史
漆喰は世界中で使われており、地域ごとに特色があります。
・エジプト(ピラミッド内部の壁面装飾)
・ヨーロッパ(スペイン漆喰・イタリアのヴェネチアングラスプラスター)
・中国・韓国(宮殿や寺院の壁)
・アルベロベッロ(イタリアの世界遺産になっている街並み)
・アンベール城のガネーシャ門(インドのラージャスターン州ジャイプールの郊外にある)
その他、世界遺産になっている建築物がたくさんあります。
日本の漆喰とは異なり、ヨーロッパでは色彩豊かな装飾を施したり、鏡面のように磨き上げたりする技法が発達しました。
4. 近年の漆喰の活用と現代建築での使われ方
近年、漆喰はその機能性とデザイン性の高さから、現代建築でも広く利用されています。
① 住宅の内装
自然素材を使った健康的な住まい作りに適している。
湿気対策や抗菌効果を期待し、寝室やリビングに採用されることが多い。
② 店舗・カフェのデザイン
漆喰のナチュラルな風合いを生かし、レトロモダンな内装に。
③ DIYブームでの人気
近年はDIY用の漆喰も販売され、素人でも塗りやすい商品が登場。
5. まとめ
漆喰は、日本の伝統的な建材でありながら、現代でも幅広く使われる魅力的な素材です。
調湿性・耐火性・抗菌性といった機能性に加え、職人の手仕事による美しい仕上がりも魅力です。
伝統建築だけでなく、住宅や店舗の内装にも取り入れられ、今後も活用が期待される素材といえるでしょう。
何かあれば、当社営業までご連絡いただくか、下記お問合せフォームより無料相談会にご参加いただければ幸いです。
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